IOII architects

オフィスという都市

4000㎡ワンプレートの都市的スケールをもつオフィスのリノベーション。無数に配置した配線用のポスト(電柱)にデスクの島を接続して容易にレイアウト替えできるようにし、アジャイル開発に対応した。

The Office as a City

オフィスという都市

種別

リノベーション

用途

事務所

延床面積

4000

意匠

日建設計+ITA(現IOII architects)

写真

長谷川健太

トヨタ大手町の内装計画。大手町で最も古い築60年のビルにおいて、フロアの半分にあたる貸室約4,000㎡を対象とした。4,000㎡のワンプレートは東京でも数少ない超大型オフィスであり、もはや街区に近いスケールをもつ。本計画では、このワンプレートの利点を最大限に活かしつつ、大小のチーム編成を都度行い、レイアウトをアジャイルに更新していくことが求められた。

一方で、ワークステーションでの業務を成立させるため、各席に対して「一人1回路(150W)+光回線ネットワークケーブル」を確保できることが条件だったが、既存建物は、OAフロア厚50mm、天井高2.1mというミニマム寸法であり、配線スペースと圧迫感の両面が大きな課題となった。

そこで、OAフロアからの配線は情報系に限定し、電力その他は天井側から供給する構成とした。さらに天井とOAフロアを接続する“電柱”状の支柱を約5mピッチで林立させ、鋼製の細い支柱を垂直に降ろす。机の島(ワークステーション群)をこの“電柱”に接続することで、島の拡大・縮小や位置の更新を、配線の制約から解放して自由に行えるようにした。

閉塞感を解消し、同時に配線替えを容易にするため、全室をスケルトン天井とし、都市の上空を走るインフラのように整えた。天井面に形成された“空の道”から、机が集まる島へと伸びる“電柱”に電線が降りてくる。それは、都市の電柱が地上へ電力と情報を届けるように、このオフィスの“街区”ごとにエネルギーと情報を分配していく仕組みである。

この計画は、一本の大動脈で統合された均質なワンルームではなく、連続する街区を内包する中小規模都市のような構造を志向した。内部の主要動線を「道路」と位置づけ、フロア各所に通路の屈曲や分岐を意図的に残し、床のペイントによってそれらを可視化した。道路沿いには街灯のような照明、街路樹のような植栽を配置し、看板のようなサインが人々を導くことで、オフィスの中を「街を歩く」体験へと転換する。

4,000㎡という広さは、オフィス内の移動が単なる歩行にとどまらず、場合によっては小型モビリティの使用を想定するほどの距離を持つ。道路の設定は、働く身体に対して「建築内の移動を、都市的な行為として捉え直す」ための環境的フレームでもある。

さらに、パーク、カフェ、ライブリー、ジムなどのスペースをフロア内に分散配置し、都市の公共空間になぞらえたゾーニングを行った。

https://www.toyota-tokyo.tech/workplace/

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