IOII architects

水と大地の境界線

The Boundary Line Between Water and Land

水と大地の境界線

種別

プロポ案

2004年12月26日、スマトラ島(インドネシア)沖でマグニチュード9.1〜9.3の巨大地震が発生した。津波は震源近くだけでなくインド洋全域へと広がり、タイ・カオラックも甚大な被害を受けた。その翌年、犠牲者を悼み、記憶を未来へつなぐために「ツナミメモリアル」と題した国際コンペが開催された。本案はその入賞案である。

敷地とプレート
敷地はタイ・カオラックのラムルー国立公園に位置する。毎年12月26日、この地には静かに人々が集まり、犠牲者への追悼が営まれる。

敷地の等高線に沿って緩やかに湾曲する板状の構造体は、津波が襲った「大地と水の境界線」を抽象化したものだ。水平に張り出したプレートは、光を受けて空を映し、そのまま海へと視線を導く。
2004年のあの日、海はこの高さまで押し寄せ、穏やかな日常を一息に奪った。
プレートはその事実を空間のなかに刻み込み、訪れる者に静かに思い起こさせる。

巡礼としての動線
来訪者はまず、山の斜面を歩いて下り、地下へ続く階段へと向かう。インフォメーションを経て、博物館、カフェ、収蔵庫、レストラン、ラーニングセンターへと連なる長い曲線の通路を進む。回廊の途中に設けられたスリット窓からは、ビーチや海水浴を楽しむ人々の姿が断片的に見え、その一方で展示室には津波に関する記録や資料が並ぶ。

斜面を下り、地中へと身を沈め、長い廊下を歩く――その一連の行為のなかで、現在の風景と過去の記憶が自然と重なり合う。移動そのものが、静かな巡礼へと変わり、訪れる人を祈りへと導く。

この体験全体が、慰霊と記憶を未来へ手渡すためのメモリアルとして機能する。

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