IOII architects

縦にめぐるオフィス

中央の階段を中心に、スキップフロアで各階をつないだ縦につながるワンルーム空間のオフィス。縦シャフトである階段はトップライトからの光をおとし、風が通り抜け、働く人の会話・学びを自然に育む。

The Vertical Loop Office

縦にめぐるオフィス

種別

新築

用途

事務所

延床面積

660

構造

坪井宏嗣構造設計事務所

写真

藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ)

オフィスの存在意義が再定義されつつある今、これからのオフィスには、どう集まり、どう関わり、どのように学び合うかが求められている。ソロワークに集中できるだけでなく、そこで生まれる雑談や偶然の出会い、チームの学びの連鎖こそが、組織の活力を支える重要な資源となる。

本計画では、RCラーメン構造のシンプルな架構を基盤としながら、フロアの半分を梁の下側に、もう半分を上側にスラブを掛けわけることで1/3階分ずつ高さがずれながら立体的に連続するスキップフロアを構成した。その中心には上下階を貫く階段の縦導線を据え、三角形平面の中央で螺旋状に立ち上がる階段と吹き抜けが、トップライトからの光を受けて空間全体の気配を束ねる軸となっている。
平面を三角形としたのは敷地形状に沿わせたことによるものだが、三方向に自然に視線が伸びる幾何学の特性は、見合いを避けながら多方向へひらかれ、階段コアを介して上下左右の活動が重なることで、建物全体がひとつの連続体として感じられる。フロア構成は、働き方の多様さと空間の連続性が重なるよう計画した。

1階はエントランスと倉庫で、外部動線と社内活動の基点となる層。開口部越しに外光が深く入り、階段下の陰影との対照をつくる。2階・2+階はスキップフロアで高さをずらした執務室であり、床レベルの違いがソロワークや集中、軽い相談といった行為を自然に分節し、同時に互いの気配が緩やかに通り抜ける。3階にはキッチンや小上がりを備えたラウンジを設け、休憩、雑談、アイデア出しがゆるやかに混ざる滞在の場とした。3+階は大小の会議室で、議論・共有・意思決定のための静かな高さに配置している。

どの階にいても、別の階の声や光が薄膜のように重なり、コンクリートの厚みと床レベルのずれが生む“見え隠れ”を通して、まるでひとつの大きな“部屋”の中で働いているような感覚がある。階段は単なる動線ではなく、立ち止まり、見上げ、見下ろし、声を交わす「縦の広場」として機能する。
こうした構成によって、スキップフロアによる“縦のつながり”と、その連続性から生まれる“分断されない空間”が、働く人の会話・学び・偶然の出会いを自然に育むオフィスとなった。光や音、視線や気配、そして行為の連続性が階段まわりで重なり合い、そのすべてが「縦にめぐる」オフィスである。

Back Top